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「音楽マンション」開発者インタビュー【越野建設 吉井政勝氏】

躍進を続ける「音楽マンション」の開発者であり新賃貸アライアンスチームの、越野建設株式会社取締役・吉井政勝氏に、開発の経緯や今後の展開についてお話をうかがいました。

設計者から新規営業部門立ち上げの責任者へ

7R8A6353越野建設は、地元の北区で官庁やお得意様企業相手に地道に建設業を営んで、2012年に創業100周年を迎えました。
私は入社して28年ですが、入社して長く現場をやった後に辞令がでて、エンドに向けて仕事をするということで設計営業にコンバートし、民間営業部門として10年ほど前に企画開発室を立ち上げました。

我々の仕事は、個人の土地所有者の賃貸経営や土地活用物件の建築で、お客様は銀行からの紹介や当社HPからの問い合わせ、リピーターの方などになります。

私の中では、やるからには大手賃貸建設会社と競争で負けたくないというのがあって、当初はそれを他のメンバーにどう浸透させていくかが大変でした。
波に乗ったのは、1988年に、「強さと優しさ」をコンセプトにしたオーナールームインの賃貸として「ヴェージュ」という商品を開発したのがきっかけです。
1階は家業または賃貸、上にオーナーの住居、3階は賃貸というモデル。強さ=耐震性や防犯性、優しさ=住みごこちや街並みにとけこむデザインを重視しています。
この商品がお客様に支持され、おかげさまで順調に実績が伸びていきました。

音楽マンション開発のきっかけ

「音楽マンション」を開発したのは、音大生専門の物件を作りたいという、王子のあるオーナー様からのオーダーがきっかけでした。
最初は私たちのほうにも「そんなものを建てて大丈夫なのか」というところがあって、とにかく市場を調べてみました。すると音大や音楽学校というのは予定地の圏内に7、8校しかありません。
そこでさらに、営業の人間が音楽物件に特化した仲介業者に飛び込んでヒアリングしてみたところ、音楽物件には音大生ではなく音楽を趣味にした社会人が多く入っているという事実が見えてきたんです。

7R8A6343音大生は決して増えないので、そこをターゲットにすれば、キャパの取り合いになります。
でも、その音大生が卒業した後どうなるのかというと、毎年一定数の方が社会に出て就職しているんです。そのほか、音大生ではなくても学生時代に音楽活動をしていた方もたくさんいます。
そういう人たちは音楽はやめていない。そのまま趣味として音楽を続けていて、お金と時間の余裕もあるから、その趣味が自分の好きな時間にできることを求めています。
でも、楽器は嫌がられますから、そのニーズは満たされていません。

引渡し1ヵ月前に満室、事前に本契約が決まる

そこでオーナー様には、音大生ではなく、音楽を趣味にした方をターゲットにしてはどうかとご提案しました。
学生では高い家賃がなかなか取れないため、音楽物件でも一般相場と大して変わらない収入しか見込めない。でも、社会人がターゲットなら、きちんと納得してもらえれば家賃を高く取ることもできます。しかも、都内周辺には、そういう人が散らばっている。そこがメインターゲットです。

オーナー様にもご理解いただいて1棟目の建築が決まり、いざやってみると、完成引渡しの一ヶ月前に、全部申し込みが埋まりました。もともと、オーナーさんの一言から始まっている企画でしたから、お引き渡し前に埋まった時には「いやぁ、安心したよ」とおっしゃっていましたね。
この物件は、3年ぐらいたって部屋に空きが出た時も、あっという間に埋まってしまいました。しかも、なかなか空きが出ません。こちらも含め、音楽物件は入居者が前のめりで、事前に本契約が決まるという人気です。

音楽マンションの仕様でもコストは5年で回収

7R8A6450音楽マンションは、防音室が別にあるのではなく、入居者のお部屋そのものが防音されているという構造です。また、四六時中音を出してよいわけではなく、朝8時から夜10時までという決まりを設けてあって、入っている入居者様には皆様に納得していただいています。
遮音性は、無音の時に本当に少しだけ聞こえる程度。でも夜に音が聞こえても、私も頑張らなきゃとなるらしい。同じ趣味の方どうしなので、許容範囲が広いというのがあるようです。
外に対しては、二重サッシや防音扉で、近隣には聞こえません。街の雑踏で、ほぼ聴こえないスペックになっています。逆に、幹線道路脇の物件でも外の音はほとんど聞こえません。
音楽を弾く方だけでなく、聴くだけの方でもOKですが、でもやはり入居するのは楽器を演奏する方の方が多いですね。

おかげさまで、「音楽マンション」にはたくさんの引き合いをいただいていて、すでに十数棟をお引渡しさせていただきました。
オーナー様は1棟目の方のように「音楽マンション」がいいという方と、資産運用として何かないかという方とがいらっしゃいますが、7:3で、差別化を求めてお選びになる方のほうが多くなっています。

オーナー様が一番心配されるのは、音楽物件は防音など工事費用が高くなるというところ。通常と比べて、一世帯当たり約50万円のアップになります。でも、この金額は家賃にのせれば4~5年で回収できます。
ですから、本当に音楽好きの入居者でずっと埋まるのか、絞り込みをためらわれるオーナー様には、「ダメだと思ったら、5年で一般貸しにしてはどうですか?」とご提案しています。

プラスアルファのセッションルームを活用

オーナー様の中には、音楽スタジオプラス普通の賃貸というプランをご検討されていて、音楽マンションを知って変更していただき、これで安心しましたというお声をいただいた方もいらっしゃいます。
田端のオーナー様の場合は、もともとスタジオをやっていてノウハウがあったため、新しい物件にもスタジオを作り、時間貸しのビジネスで使っています。

また、オーナー様の中には入居者様が自由に使えるセッションルームを一室用意している方もあって、入居者がお友達を呼ぶことで、口コミで広がっています。
この方は以前教職につかれていて、当時の思いから音楽好きの学生に使ってほしかったそうで、入居者限定で無料解放し、予約して使っていただいているそうです。さらに、オーナー様が月一回、コミュニケーションをはかるイベントを開催しています。

「音楽マンション」はまだまだ伸びる

7R8A6464今、音楽マンションのうち十数棟が北区内に集中しています。でも、エリアの人気度でいえば、北区にできるなら他にできないわけがありません。
現在の入居者様は、アクセスの良い場所とはいえ、音楽マンションだからわざわざ北区に住んでいるという方がほとんど。
今はまだ「音楽マンション」についての情報発信がしっかりできていないので、そこに力を入れてエリアを伸ばしていき、この先、各区に10棟ずつ建てることが目標です。

また、入居者様により満足を高めてもらうため、「音楽マンションクラブ」を立ち上げ、有名な楽団のコンサートチケットを抽選でプレゼントするなどのサービスをご提供しています。
音楽好きの入居者様に、いい音楽を生活の中で聞いてもらいたいという思いから始めた企画で、ジャズやポップスなど、音楽ジャンルも広げていく予定です。
今後は入居者様による演奏会を開催したり、掲示板のようなサービスをご提供したり、もっとうまくなりたいという方に向けた教室需要など、入居様のニーズを満たすさまざまなサービスを充実させていきたいと思っています。