ドラゴンソリューションカフェFile004 フィルとティモシーの横濱アパートメント物語021
ドラゴンソリューションカフェFile004
ドラゴンにアシスタントを頼まれたので
私はアパートメントオーナーではありません
リンダが指名したのはティファニーだった。
彼女は申し訳なさそうに立ち上がり話しはじめた。
「名前はティファニーです。
今年の誕生日で30歳になりました。
前もってお話しておきますが、私は皆さんのようなアパートメントオーナーではありません。
アパートメントを探している入居者の予備軍的な立場です」
「入居者の予備軍ね。
そりゃイイネ。ドラゴン ナイスチョイスだ」
思わずタイガーが言った
「そうだろ、タイガー
ナイスチョイスだろティファニー、なっ、
言った通りだろ、アパートメントオーナーは
君みたいなアパートメントを探す立場の人
の話が聞きたいんだよ」
ドラゴンは続けた
「世の中には今、空いてるアパートメントが数え切れないくらい沢山あるんだ
なぜ空いているかと言うとほとんどのアパートメントが、建設会社が建てやすい同じプロトタイプのモノを建て続ける。
かたや、数字(利回り)ばかりを追いかけるオーナーによって運営され、入居者のことなど何も考えない物件が増えているからだよ」
そんないっぱい余っているんだと
若い四人(フィル・ティモシー・ティファニー・トム)ははじめてこの事を知った。
「かたや、いつも満室を保っているアパートメントオーナーの物件は
①誰に住んでもらって
②どんな生活をしてもらいたいか
③そして、入居してくれた人がどうしたらずっと住んでもらえるか
少なくともこんな事を考えているんだよ
だからティファニーはじめ若い人たちから
今のアパートメントに対するニーズやウォンツを聞くことは私どもアパートメントオーナーに大変必要な事なんだ」
ティファニーはここに居て自分にも出来ることがあるんだと分かり緊張が解けた。
「看護師の仕事をして、今年で10年になります
寮に住んでいたけれど、一度出てフラットな気持ちになり、本当は自分がやりたかったことに挑戦したいとも思っています」
「やりたい事って何?」
タイガーが聞いた
「はい、小さい頃から美容に興味があって
今はネールのアーティストになりたいと思っています。
なので、時間があるときにサロンに行って勉強しています。
ティファニーはいずれネイルアートの技術を取得して
小さなお店でもいいのでこの街で起業したいと思っていた。
「夢があっていいね。
若い時の夢は、あきらめないで
一生懸命頑張れば形になるわよ」
リンダが言った。
これが、リンダとティファニーのはじめての出逢いだったが
この後、偶然の出遇いが
必然の出逢いになる事を
この時点では、2人ともまだ気付いていない。
ティファニーの自己紹介が終わって
ホワイトボードの次の人の似顔絵が
紹介されるのだった。