フィルとティモシーの横濱アパートメント物語005 フィルFile02

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フィルFile 02    春野菜とバーベキュー

父のサイモンから電話があった。
土曜日は夕方でなく昼ぐらいからこれないかとの連絡だった。

 

 

フィルは仕事が忙しかったがわざわざ昼から会いたいと言う父の気持ちを汲んで会うことにした。実家に行くとサイモンは車に乗って出かけようと言う。相変わらず思いついたらすぐ行動に移すせっかちなサイモンであった。

 

 

「これから家の土地を見て回ろう」
そう言って車を走らせた。

 

 

フィルの実家は自宅のほかにミハイルに畑とアパートメント持っていた。

そして少し離れたカサンという土地に駐車場もあった。

「どうしたの?急に土地を見に行くなんて」
フィルはサイモンの顔を覗き込むようにして尋ねた。

 

 

サイモンは今、自分が普段やっていることをフィルに伝えたかったと言う。

「春になったので、畑の野菜をみんなで楽しみたいと思ってな」

「みんなで?」

 

 

サイモンはいつも野菜が収穫できる、春と秋に【収穫祭】と銘打って畑でバーベキューをするのだった。
そこにアパートメントの入居者や駐車場の借主たちを集めてワインを飲みながら野菜や肉を楽しむのだった。

 

 

そして帰りには、山盛りの野菜を箱に詰めてみんなに渡すのだった。

この畑は先代から自分たちの健康のために、家族が食べられるだけの野菜作りをしているのだ。

 

 

その畑の隣にはファミリータイプ19世帯のアパートメントがありもう築42年になっていた。

そして、少し離れたカサンと言う街に駐車場があり、15台の車が止められていた。

 

 

アパートメントは現在5部屋が空いているという。
駐車場に関しては、なんと法人に貸していた10台が来月戻されると言う。

 

 

「なんだか大変だね」
とフィルはサイモンに言った。

 

 

「サイモンは少し困ったような顔をして
この機会におまえと1つずつ3つの土地を見ながら次の一手を考えたいと思っているんだ」

 

 

サイモンはフィルの目をしっかり見て言うのだった。

 

HONESTY ALWAYS COMES FIRST