TOP > スペシャルインタビュー本郷尚③

ターゲットを絞り込まないほうが怖い

石川:よくコンビニの経営では、2:8の法則といわれますが、同じですね。考える2割に入る、考えない8割から抜ける。
そこで、建物の差別化がキーワードになってきます。
いわゆる「箱物アパート」はメーカーにとって最高の商売というだけ。同じものを供給しているだけでは値下げ競争になる。
オーナーさんでも2割の勝ち組の方は、差別化を話す時、絞り込みが強くて心配するのではなく、絞り込まないほうが怖いという。絞り込まれたほうはそれにいくしかない、必ずやってくるというのがわかっているからですね。
ニーズではなく、ウォンツ。ニーズは寝て食べられればいい「駅の立ち食いそば」。ウォンツなら、“これを食べたい”と言って人が来てくれます。

「建物は売るために大事にするもの」という考え方

本郷:欧米の場合は、建物をいつかは売るという発想がある。どこにいても「for sale」を見かけます。
もともと建物を投資で買うという発想、古いものを安く買ってリノベーションするというやり方があるので、古い物件を買っていく人間がいるんです。安く買い叩いて高く売る。これも、経営者ならどうするかという発想ですね。

それに対し、日本は20年30年で建物を壊してしまいます。
アメリカ、ヨーロッパでは売ることを考えているから、建物を大事にする。
売るために大事にすることが、資産を大切にすることになる。日本でもそういうオーナーさんに出てきてほしいですね。

いい建物なら自信ができる

本郷:賃貸物件を相続して建て替えた人は実はあまりいない。相続すると、それだけで疲れちゃうんです。
でも、売ったとしても、売り方が下手で買い叩かれてしまう。出口戦略もなしに、どうにもならなくて売ってしまっているから。
自分は手持ちの物件をペットマンションにして売った経験があります。理由は付加価値をつけるため。特に都内なら、そういう物件は少ないですから。

アンハッピーな話でなく、ハッピーリタイアのような話で売れるのがいいですね。売るのにも、いい建物だったら自信ができる。ウェイティングの状態になると家賃もあげられます。