TOP > スペシャルインタビュー本郷尚④

新しい時代に必要なのは「経営」という感覚

石川:65歳が4人に1人という時代になりますが、高齢者は実はものすごくお金を持っています。
不動産会社などがその層に向けて、賃貸経営へのアプローチとして税金対策を言っていますが、これからは「年金対策」、「収入対策」ですよ。税金を減らすためでなく、収入を増やす。

本郷:そういう方々は、時間もあるし資金もあるから、マーケティングもわかっているし、勉強もする。現役時代に何らかの仕事をしていたビジネスマンだったら、顧客満足についても知っているはずです。

石川:音楽マンションを作ったり、エントランスを飾ったり、顧客満足を考える人が出てきていますね。入居者が長く住むためのサービスを考えている。

本郷:顧客満足でいうと、たとえばプリマ(アパートメント)は、住んでいる人が楽しんでいる。
オーナーが誇りを持つのはもちろん、入居者が誇りを持つ、地域が誇りを持つ。三方良しですよ。
昔は、アパートは嫌われましたけど、地域の環境にもよい、憧れられるアパートになれる。そういう建物は、なかなかないですね。

新賃貸は「経営者」と「お客様」

本郷:誰かにやらされたと思っているとか、自分が悪いと認めないとか、自分でコントロールできない方が増えていますね。
そもそも、賃貸物件を所有するということは「経営者」や「投資家」という位置付けになるわけで、オーナーという言い方ではいけませんし、そこに住む人も単なる「入居者」でなく、「お客様」です。

石川:お客様の声を聴いて、ニーズ・ウォンツを引き出す。お客様が求めていることはそこから出てきます。

本郷:アパートって、たとえば内装の色とかライティングとか、工夫とメンテナンスのかけ方でガラッと変わるでしょう?
そもそも日本の建築は積み上げ方式なので、最初に目いっぱいのものを考えて、そこから金額に合うよう合わせるやり方ですが、そぎ落としの時に魅力まで全部そぎ落としちゃって、結局普通の、つまらないものになってしまう。

いいものを作って、いい経営していくこと。
もうちょっと大きな、大局的視点で考えると、いいところに着地できるんじゃないかと思います。
コンセプトがしっかりしていたら、人はやってきますから。