フィルとティモシーの横濱アパートメント物語008 フィルFile03

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フィルFile003   ミハイルにあるアパートメントをよく見てみよう

そう言ってサイモンは築42年経った建物の前に車を止めた。

「確か、5世帯空いてるから今入居者さんが入っているのは14世代ですか?」

「うん、そうだな」

サイモンはアパートメントのエントランス付近にあるゴミを片付けながら話を続けた。
「実はな、今新しい入居者を入れることをストップしているんだ
アパートメント経営は空室が出ることが1番困るとお前には言っていたのに不思議じゃろう」
サイモンがわけのわからないことを言い出した。
「えっ、何故そんな事をするんですか?」
フィルはサイモンがなぜそんなことを考えているのかを知りたかった。
現状、5室空いているのにこれからも入居者を入れないっていう事は、どんどん空室が増えキャッシュフローがクラッシュすることになる。
彼は彼なりに心配だった。
サイモンはフィルを見つめて言った。
「老朽化じゃよ」
「建物のアンチエイジングだ」
「40年以上経ったアパートメントはの給水管は鉄管でできていることが多いんだ
それも埋設管と言ってコンクリートの中に埋まっていることが多い
その給水管の内側が老朽化のためサビだらけになる
そうなるとどうなるのかな?」
サイモンはフィルに尋ねたら
「サビの入った水か流れている」
「うん、そうだな。
それを赤水と言うんだ
しばらく水を出していれば赤水は無くなるが、また、再度使用する時には最初に赤水がしばらく出る。
入居者さんの身体に良い訳がないよな」
サイモンはそのようなわけで、一度入居者さんを全部出して事業再生リノベーションを行おうかと銀行に相談しているという。
フィルは驚いて
「えっ、今住んでいる人全員に出てもらうの?」
「うんそうだな」
「それは相当大変なことだよ」
「うんそうだな」
「大変な事だけどそれをフィルお前が中心になってやるんだよ」
「えっ、何言ってるの?」
フィルは一度言い出したら後には引かない父サイモンの言葉に戸惑うのだった。
HONESTY ALWAYS COMES FIRST