「プリマ」開発者インタビュー【中谷光伸氏】

女性専用マンション「プリマアパートメント」の設計・開発者であり、自身もプリマオーナーとして賃貸経営を行なう、株式会社オーガスト代表取締役・中谷光伸氏。中谷氏にプリマ開発のきっかけや、こだわり、今後の賃貸経営市場についてのお話をうかがいました。

自分で賃貸経営を考え始めたことが開発のきっかけに

7R8A5089プリマ開発のきっかけになったのは、自分の資産形成、老後の安定のために賃貸経営を考え始めたことでした。
40歳まで過酷に働いてきて、自分の労働資産の蓄積はどこにできているのかと考えた時に、何もなかった。自分が働いて受け取ったお金を有効活用し、蓄積してそこから収入にするには、アパート経営しかないと思ったんです。

その当時は、リーマンショックで土地や物件が安くなっていた時代。世の中と逆行して始めるには、いいものを作るしかないと真剣に考え、今までのアパートとは違うものにしようと思いました。

アパートはたいてい、造りが一緒です。駅からの距離や面積や築年数という数字のみが家賃を決める基準で、条件が悪ければ家賃を下げるだけ。住みたいと思えるような物件は全くなかった。だから逆に、いいものを作れば埋まるのではないかと思ったんです。
そのためには、一般的に受け入れられるもの、“最大公約数”的な商品をつくるのでなく、特化しようと考えました。

女性に絞り込んで「特化」した商品

女性専用にしたのは、良いもの、新しい物が出ると真っ先に評価してくれるのは女性だから。インテリアや、食や、住環境に関心があるのも女性です。
女性は居住空間と寝室がいっしょにあったら満足しない、食寝分離のスタイルを求めます。そこで、ロフトを活用することで食寝分離を実現しようとなり、じつはそこからプリマの共用空間や天井高が生まれることになりました。

プリマの魅力は、入居している方が住んでいることに誇りを持てるところ。住むことにステータスを感じられるところです。
女性はどんなところに住むかにこだわります。そんな女性だからこそ、賃貸には親和性があるはず。それなのにマンションを買ってしまう女性がいるのは、賃貸では良い物件がなかったからなんです。

素材へのこだわり

7R8A5300プリマは素材にもこだわりがあります。
一番はメンテナンスが可能な素材かどうか。
たとえばドアサイズについては、100年前から規格の変わらないものということで、輸入素材になりました。グローバルスタンダードというのは、素材やデザイン性もありますが、メンテナンスできて、しかも魅力が失せません。
さらに、健康によい、見た目がよい部材ということにもこだわりました。

また、部材は規格化することで、コストが下がります。同じ部材を使うことでコストパフォーマンスも良くなります。
これはアパートだからこそ、実現できたことで、1軒でやってもこの価格にはできません。提案するものに共感してくださったオーナーさんとだからできたことだと思っています。

 

リピーターと口コミが最大の効果を生む

それともう一点、プリマは営業経費を極力減らして、コストを抑えています。
組織運営の経費を削減して運営費は極力かけない、営業もない、広告宣伝費もなしで、口コミでやっている。
これは大きい会社ではできないことで、社長みずからが営業マンという規模の会社だから、コスパを良くすることができていると思います。

プリマというのは、オーナーにとっても入居者にとっても、嬉しい物件です。一軒一軒最高のものを作ることが、お客様の満足につながり、口コミやリピートにつながる。これは最高の宣伝であり、最大の広告効果を上げてくれます。

「手段」ではなく長期的見通しをもった「経営」を

7R8A5159これからの賃貸経営で言いたいのは、「数字にこだわるな」ということ。数字に表せないものにこだわり、人間の本質に関心を払ってやっていくことで、逆に数字はできていきます。

今までの賃貸経営は、何らかの手段としてやっていることが多かった。たとえば、節税のために実際の利回りは悪くてもやっていて、長期的な見通しを考えていない。それがいまの空室問題を呼んでいます。

 

成熟した文化や社会につながる資産

ヨーロッパではリフォームの業者のほうが多くて、今あるものを大切に使う、維持していくという考え方が定着しています。
京都のような一部の地域を除いては、日本は30年で建て替えるのが常識で、お金をかけてまで大切にしたいものがないことが問題です。
一つでも変われば、街並みは変わっていく。少しずつよくなっていく。50年60年の長期で使えるもの、これからは、そういうものを作らなくてはいけませんね。

そして、よい建物を単に資産として持つだけでなく、収入を得て、それを遺産として残すことができるのが、アパート経営です。
実はそういう資産のある人が文化や社会をよくしていく、成熟した社会をつくっていくのだと思っています。

 

プリマで喜びの輪を広げる

プリマをやっていて嬉しいのは、自分自身が元気になれたこと。今、楽しく人生を謳歌して、仕事ができています。
自分の役割をプリマで見出すことができて、生きがいをいただけた。仕事を通じてみんなの喜びの輪、善の循環をつくっていく。そういうことで、社会貢献できているんじゃないかなという思いもあります。

今後はもう少し、全体的な供給を増やしていきたいですね。現状では、地域によって入居者のニーズに供給が追いついていない状態です。
また、ユーザーの需要をオーナーにどうアプローチしていくかも課題です。プリマクラブやプリマファクトリーなど、組織としてどうやっていくのか。
専業化をしていくことで、もっとロスを減らしていけると思いますし、組織全体の力を増やしていけるのではないか。
オープンな組織で、みんなでやっていくということが大事だと思っています。

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